前回までのあらすじ
DXに欠かせない技術であるAIについて学んだ初心さん。今回は同じくDXに欠かせない「IoT」について学びます。
DXって言葉と一緒にIoTっていうのもよく聞きますけど、IoTって何なんですか?
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DXに不可欠なIoTとは?
IoT<Internet of Things>とは、「モノのインターネット」と言われています。あらゆるモノがインターネットとつながっている状態を指します。
…だからどうなるんですか??
まぁそうなりますよね! でもコレ、すごく便利なんですよ
IoTは「あらゆるモノ」が「インターネットにつながった状態です。身近なものだと、服や靴下がインターネットにつながるような世界と言えます。
それがどう便利かと言うと、靴下であれば歩数や歩幅、歩く癖などをデータとして蓄積し、姿勢改善や運動するタイミングなどのアドバイスを受けられるかもしれません。
すでに商品化されている例として、時計(スマートウオッチ)や眼鏡(スマートグラス)、スポーツシューズ(スマートシューズ)などが挙げられます。
なるほど! これは便利かも!
IoTの仕組みは、モノに付属させたセンサーでデータを取得し、それをクラウドにアップロードしてAIが判断し、モノがヒトにフィードバックするという流れになっています。
センサー:温度センサー、湿度センサー、加速度センサー、照度センサー、人感センサーなどさまざまな種類があり、情報を取得します。
例)車のレーダー、マイク、カメラなど
クラウド:クラウドコンピューティングのこと。インターネットを経由してハードやソフトを利用する概念全体を指します。
AI:人工知能。コンピュータを使って人間と同等、あるいはそれ以上の知的処理を実現する技術。判断や学習に使うデータ、推論エンジン、アルゴリズム、モデルと呼ばれる知識やデータの処理部分、知識やデータをもとに処理部分を調整する学習部分などで構成されています。
アクチュエーション(フィードバック):クラウドで行われた判断に基づいてモノが動作すること。
例)家庭の消費電力を計測し、街全体の消費電力を測定した上で必要な電力を発電する(発電がアクチュエーションにあたる)
市場も大きく、2024年の国内市場は11兆円規模になると予測されています
それだけみんながIoTでめちゃくちゃ世の中が変わると考えてるってコトですね!
IoTで進むDX社会
それでは、具体的にどのように世の中が変わっていくのか、IoTが活用されているシーンをご紹介します。
ケース① スマート家電
スマート家電は、インターネット通信機能が備わったIoT家電のことです。最近、スマートフォンで電源をオン・オフできたりする家電や、スマートフォンから操作できる家電が増えているのをご存じでしょうか?
例えば、通信機能を備えたエアコンは、外出時に電源を切り忘れたと思っても外出先からスマートフォンで操作することができます。また、湿度や温度などの感知センサーが備えられたものは、適温を設定しておくことで自動的に室温を調整してくれます。
スマートスピーカーはIoTを活用した家電の代表です。ヒトの音声で命令を認識し、インターネットに接続してクラウド上のデータを活用し、命令に対してリアクションを返してくれます。鍵・照明・エアコン・テレビ・スピーカー・カーテンなどさまざまな家具・家電と連携して、リモコンなしで操作可能です。
寝転んだ状態で電気やテレビが操作できるってコト? それは便利!
スマート家電市場は2024年には世界で14億個のスマート家電が出荷されるとの予測があります
ケース② ウエアラブル端末
ヒトの体に身につけるIoT端末をウエアラブル端末と言います。製品はさまざまで、腕時計やメガネ、服、下着、靴などです。もっともわかりやすいのは、スマートウオッチでしょう。腕時計の中に通信機能を備え、装着者の心拍や血中酸素濃度、呼吸、睡眠、歩数などのデータを取得します。データはクラウド内のアプリで分析され、健康状態をわかりやすく表示してくれます。
このほか、スマートグラスも注目したいツールです。こちらも装着車の視線などで疲労状態を把握し、装着者に健康管理を促します。
実際にスマートウオッチを身につけたご年配の方が転倒され、スマートウオッチが救急車を呼んで事なきを得た、という事例もあるそうですよ
ケース③ スマートファクトリー
スマートファクトリーとは、IoTをはじめとする最新のITツールを活用した工場のことです。
製造業では従来、製造実行システムなど工場の生産ラインを制御・計測するOT(オペレーショナルテクノロジー)と、ERP(統合業務管理システム)など生産の計画・実績情報を管理するITが分かれています。
これまで工場では主にOTに関する自動化・効率化を進めてきましたが、スマートファクトリーではOTとITの融合を目指します。具体的には、センサーで収集したデータを蓄積・分析し、その結果を工場内の生産性や品質向上に活かします。
ケース④ 自動運転車
運転操作の一部、または全てをコンピュータで制御する自動車を自動運転車と呼びます。これもIoT技術が活用されています。
自動運転車は米運輸省道路交通安全局において、4つの段階で定義されています。
レベル1 アクセル・ハンドル・ブレーキをそれぞれ独立にコンピュータが制御する
レベル2 上記2つ以上を連携させて制御する
レベル3 アクセル・ハンドル・ブレーキの全てをコンピュータが制御しますが、緊急時にはヒトの運転者が操作します。「半自動運転」とも。
レベル4 ヒトの運転者は運転に一歳関与しない
実際に2021年3月にはホンダがレベル3の自動運転車を限定発売しました。レベル4に到達するのは2025年が目処とされています。
交通事故が減る可能性もありますね!
また、輸送のあり方も大きく変わるでしょうね。まさにDXの要となる技術です!
このように、IoTの技術を活用することで会社はもちろん社会全体のDXが進んでいくと期待されています。
IoTを活用したDXの事例
ここからは、実際にIoTを活用したDX事例をご紹介しましょう。
ブリヂストンのスマートファクトリー
自動車・トラック・自転車などのタイヤ製造を手がけるブリヂストンは、2018年の中期経営計画でスマートファクトリーの構想を打ち出しています。
同社のスマートファクトリーは、同社が独自に開発した「Bridgestone Intelligent Office(以下、BIO)」、生産システムを制御するAIを搭載した「Bridgestone Intelligent Device(以下、BID)」を基盤にしています。
BIOはバリューチェーンに蓄積された膨大なデータの峻別と解析を行い、システム上で繰り返しシミュレーションを行うことで設備や装置を自律化させるアルゴリズムを算出します。これを、生産システムを制御する人工知能(AI)を搭載した「BID」により、各製造工程に実装することで、市場におけるタイヤの情報や開発情報を自動的に製造工程へ反映し、必要な性能のタイヤを迅速に開発、製造しお客様へ提供することが可能となります。
これらを活用することでデジタルツイン※2を活用した設備管理による生産効率のアップ、熟練作業の定量データ化による製造工程の改革(技術伝承)、シミュレーションによる開発プロセスの改革を行うことを想定しています。※工場や製品などに関わる出来事をデジタル上の仮想工場にリアルタイムに再現すること
AIやIoTを使ってデータを集め、より良い製品をスピーディーに作る仕組みを作っている、ということですね
職人さんの技術もデータとして残しておくとか、まさにDXって感じ!
秋田酒類製造 IoTを活用して日本酒発酵の温度を管理
秋田酒類製造では、杜氏※1や蔵人※2の休日出勤や深夜早朝業務、担い手不足という課題を抱えていました。そこで、職人の負担を軽減するべく、酒のもととなるもろみが入ったタンクにセンサーを取り付け、発酵中の日本酒のアルコール分などを推算するIoTのシステムを2018年に開発しました。2019年にはセンサー類の追加し、2020年には社内ネットワーク整備による社内全域で情報を共有、2021年には研究用タンクを2基追加、発酵タンクの温度などを定期的に取得し、そのデータを遠隔で閲覧できるシステムを導入しています。
※1 酒造りの最高責任者 ※2 杜氏のもとで酒造りを行う職人
IoTを活用したこのシステムを導入することで、麹づくりや発酵タンクの経過を瞬時に確認できるようになり、温度を目視するための現場への移動や記録など、蔵人の負担が軽減。蔵から離れた本社にいても10分おきにデータが見られ、タンクの状態が手元のスマートフォンでわかるため、異変を感じた際にはすぐに現場へ行けるような体制を構築することができました。
さらに、現在は発酵中の日本酒のアルコール度数などを予測するシステムを試験導入中で、分析の回数をこれまでの半分に減らすことができ、作業の効率化が期待されます。
同社ではベンダー任せにせず、社内でDX人材を育成しながら運用しているそうです。
参考:秋田 DXより
職人さん不足で廃業する酒造もあるって聞くから、デジタルの力を使っておいしいお酒造りの方法を残していってほしいですね!
まとめ
IoTって私たちの生活にも、仕事にも深く関わってるんですね!
IoTをはじめ、デジタル技術は人の生活を便利にしてくれるものです。だからこそ、DX社会というのはどんどん進んでいくんですよ
IoT市場は大きな伸びを見せており、今後もさまざまな商品やシステムが登場していきます。それは、IoTやデジタル技術で私たちの生活が便利になっていくからです。
今は体感したことがない方でも、例えばスマートフォンはその利便性であっという間に私たちの生活に溶け込み、なくてはならないものになりました。
IoTを活用することで生産性は大きく変わり、私たちの生活も変化していきます。だからこそ、「IoTとかよくわからないから」と避けているのはもったいないことです。IoTがどのような仕組みで、どんな風に活用していくか、日頃から意識してアイデアを持っておきたいですね。
IoTは生活に密着している分、活用アイデアもひらめきやすい技術です。日常生活でIoT製品を使っているうちに、ビジネスへの活用方法も思いつきやすいのではないでしょうか。そのひらめきが、自社のDX促進につながるかもしれません。
次回は「クラウド」について解説します。
つづく
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